非線形制御則を用いてステップ状の目標軌道yrに追従させましょう.この非線形制御則を用いると,軌道はある線形システムの応答に対応します.そこで,システムの特性方程式の解(極)によって軌道がどう変わるかを調べ,極と応答の関係を考察しましょう.
運動モデルの(3)式,(4)式より,
である.この式の両辺をxで微分し,(3)式,(5)式を代入すると,
である.ここで,新しい変数uを用いて,
とおく.この(22)式を(21)式に代入すると,
となる.(23)式はuとyの関係を表す線形モデルである.ただし,時間tのかわりにxに対する変化を表している.このシステムにおいて,位置yを制御するために,PD制御を用いて,
としよう(ここは線形制御の考え方です!).k0,k1 > 0は制御ゲインである.
(24)式の制御ゲインは実験2と同様に決めることができるが,ここではシステムのモデル(23)にもとづいて決める方法の一つを示す.(24)式を(23)式に代入すると,
となる.xを時間tの代わりとみなして,両辺をラプラス変換すると,x-y平面内の軌道y(x)の目標関数yrへの収束はつぎの特性方程式,
に支配されることがわかる.この特性方程式の極は,k0,k1によって任意の値にできる.極と応答の関係に関して知られている結果から,軌道を速く目標に収束させたければ,特性方程式の解,つまり極が-∞に近づくようにゲインを決めればよい.また,過渡状態での振動を抑えたければ実数極になるようにゲインを決めればよい.
例えば,極をp1,p2にしたいときは,(26)式と(s-p1) (s-p2 ) = 0,すなわち,
が等しくなるようにk0,k1を決めればよい.このような方法を極配置法(pole placement method,またはpole assignment method)という.この方法は制御対象のモデルにもとづいて理論的に制御則を求めるものである.このような方法を用いるためには理論的な知識を必要とする.しかし,ゲインと応答の関係が理論的に推測できるので,ゲイン調整における試行錯誤が少なくて済む.
なお,実際の旋回速度入力v2は,(20)式,(24)式を(22)式に代入した
であり,非線形関数を用いた状態フィードバック制御となる.
実験の前に, 制御されたロボットの軌道を支配する特性方程式,s2+k1s+k0=0 (26) の極が以下の値になるように,ゲインk0とk1を計算してください.
0. PCとロボットをつなぎます.(PCの右側のUSBポートに接続)