PID制御を用いてステップ状の目標軌道yrに追従させましょう.自動車の運転でいうところのレーンチェンジです.並進速度についてはすでにPI制御でおおよそ一定速度になっています.この実験では,制御ゲインによって軌道がどう変わるかを調べます.このとき,図10の過渡応答(行き過ぎ量,速応性),定常応答(定常偏差)といったポイントについて比較しましょう.
目標軌道に追従させるために,目標軌道と現在のロボットのy座標との差に応じてロボットの向きを変えるように旋回方向の入力u2を決めよう.目標値yrと今の位置y(t)との偏差を,
とおく.前節の並進速度の制御と同じようにPI制御を用いると,
である.kP,kIはそれぞれ,比例ゲイン,積分ゲインである.
ところで,もし順調に目標に近づきつつある状況,つまり偏差が減少し続けている状況ならば,それ以上入力を増やさなくても自然に目標に到達するかもしれない.逆に目標から遠ざかって偏差が増加し続けている状況ならば,もっと大きな入力を入れたほうが早く目標に近づくかもしれない.このような考えにもとづいて現時点での変化量,つまり微分を用いて制御する方法を微分制御(derivative control)という.
kDは微分ゲインである.(13)式のように比例,積分,および微分要素を組み合わせたものをPID制御と呼ぶ.
0. PCとロボットをつなぎます.(PCの右側のUSBポートに接続)