これから一緒にやっていくみなさんへ
いま、みなさんの前にはそれぞれ真っ白なキャンバスがあります。
それにこれからの大学生活で何を描いていったらいいかを考えてください。
出来るだ具体的に、あれがほしい、あれになりたい、あんなことをしたい、
職業、家族、旅行、コンクール、所得、環境、社会貢献・・・。
おもいっきり自分自身の希望を書き込んでみてください。
では、それを実現するためには、日本の社会・経済をどのようにデザインしたらいいのでしょう。
たぶんピンと来ないか、全体像がまだ見えないという人がほとんどかもしれません。
それがスタートです。その間のギャップを埋めていくのがこのゼミでみなさんにやってほしい第一のことです。
「自分たちの経済社会は自分たちでデザインする」という当事者意識を忘れないで欲しい。
ただし、デザイナーとして力を発揮するにはアイデアだけでは不十分です。
素材を解析し、理解し、全体像をイメージしつつデッサンをし、模型を作ったりシミュレーションしながら、よりよい「システム」をデザインする、その基礎力を養うのがこのゼミです。
「聞くということ」たいせつにしましょう。
先生や先輩に遠慮なく聞いて欲しいのです。どうか距離を感じないで欲しい。感じてもゼミの中では忘れましょう。
ただし、時計を少し先送りして、まさに新入社員の時期、各企業の新人研修の風景などマスコミで伝えられている風景に自分を押し込んでみてください。
そこで何が重視されているのか・・・「交流」の力、コミュニケーション能力。
その中には、挨拶にはじまって、さまざまなマナーが大きな柱になっています。
「個性」というのは、あるいは個人の「精進」というのは、よりよい組織のなかでさらに発揮され、向上していくと言うことをいまのうちから気づいて欲しいのです。
相手を理解することでより効果は高まるはずです。
イチローがWBCで世界一をとったとき、言ったこと、組織という面から見ると興味深いことがわかります。
有力な大リーグ選手を揃えれば勝てると思っていたのがアメリカ。
ところが、個人個人の力と同時に、組織の力が勝敗を大きく左右したことはまだみなさん覚えておられるでしょう。
イチローがその時言ったこと。「大リーグだと10のことをわかってもらうのに、10も15も説明しないとだめだけど、日本のこのチームだったら、10のことをわかってもらうのに2か3で十分足りてしまう。」
これは個々の力を「精進」することと同時にひととひととの「交流」あるいは「対話」をつねに繰り返すことの大切さを我々に教えてくれています。
情報の入手はインターネットがあれば十分という時代は、人間がこの地球上で社会的に活動をしている限り永遠に来ないといってよいでしょう。
ほんとうに貴重な情報は、「人」と一緒にやってきます。人と一緒に
What comes from the heart, goes
to the heart.
どうか、みなさんこれからの生活の中で、自分心からでたものが素直に相手の心に届くようなそんな相手を、たくさんでなくていいから、みなさんの人生を豊かにするのに十分な数だけ作っていってください。