<解題>
格言「天災は忘れたころにやってくる」通り、2011年3月11日午後、東日本太平洋沿岸地方に巨大地震が起きた。その揺れのすさまじさに引き続く津波
(tsunami)の恐ろしさ、さらには福島原発の制御不能から、東京電力の計画停電への波及を経験すると、現代文明の繁栄にどっぷりと漬かっていたわれ
われ人間(日本人)は自然の威力の前では、個人的だけでなく社会的・組織的にも無力感・絶望感にとらわれる。20世紀のわが国の例としては、関東大震災
(1923年9月)、伊勢湾台風(1959年9月)、阪神淡路大震災(1995年1月)などがあるが、もちろんそれに止まらない。海外の例も枚挙にいとま
がない。
人類は、それぞれの生活圏でこうした天災・自然災害とともに歩み、生活環境を構築・整備し乗り越えてきた。人類はどのような創意と工夫・努力で、こうし
た災害を克服してきたのか。そこから引き出される有効な備え・準備・対策は、どのようなものなのか。いま求められている課題は何なのか。
いまだ未開拓な問題領域ではあるが、創意に富んだ問題提起や実践例を期待したい。
<参考文献>
河田惠昭『津波災害:減災社会を築く』岩波新書、2010年12月、¥756.
兵庫県阪神淡路大震災復興フォローアップ委員会『伝える:阪神・淡路大震災の教訓』ぎょうせい、2009年3月、¥1,980.
寒川旭『地震の日本史:大地は何を語るのか』中公新書、2007年11月、¥800+税.
シリーズ災害と社会(Man and Society in Disaster)弘文堂、各巻¥2,730(税込)
第1巻:大矢根淳ほか編『災害社会学入門』2007年12月
第2巻:浦野正樹ほか編『復興コミュニティ』2007年12月
第3巻:吉井博明ほか編『災害危機管理入門』2008年4月
第4巻:永松伸吾『減災政策論入門』2008年11月
第5巻:菅麿志保ほか編『災害ボランティア論入門』2008年12月
第6巻:山下洋介『リスク・コミュニティ論』2008年12月
第7巻:田中淳ほか編『災害情報論入門』2008年12月
第8巻:田中淳ほか編『社会調査でみる災害復興』2009年3月
鎌田慧『原発列島を行く』集英社新書、2001年11月、¥735.