ゴム動力車(課外活動)の記録
2013年から「機械工学序論」という1年生対象の必修科目の発展として,2015年からゴム動力車製作の課外活動を続けてきてコンテストにも参加しました.途中経過はこちらをご覧ください.とりあえず,一区切りついたので(なるべく)客観的な記録をまとめておこうと思います.
◆活動と製作した車◆
2015年
最初は「ゴム動力車」という縛りだけで,基本的に学生に自由に方向性を決めてもらう予定だったが,なかなか決まらず.
人が乗るゴム動力車のコンテストがあるとのことで,とりあえず,皆でそれを目指すことにした.
最終的に3名が活動し,1号機を製作.これは人が乗る強度はなかったが,50m程度走行した.
荷台用の黒いゴムを使用.ゴムは車軸と並行に直接取り付けた.自転車の車輪を使用.ブレーキなし.ゴムは手巻き.
2016年
2016年から継続して参加していた3年生がかなり設計をしていて,新しく参加した1年生はゴムの実験をした.
ゴムの固着現象に気づく.金属とは全く違った奥深さだ.
最終的に10名程度が活動し,2号機を製作.コンテストに参加し,人が乗って70mを2回とも完走した.
荷台用の黒いゴムを使用.ゴムは車軸とは直行する方向に4本取り付け.コンパクトでまとまった車体.
ベルト&プーリで1軸に集約後,ギアで90度向きを変更.シンプルなブレーキと操縦桿(棒)付き.
ゴムは手巻き.ゴムをきれいに取り付けるのがなかなか大変だった.
搭乗時の重心位置を考慮しておらず,本番2回目ではスタート時にウィリーしたが,本番で車体のベストは出せた.
2017年
2016年から継続していた2年生が中心.数名の1年生が参加した.最終的に8名くらいが活動.
パワーを出すために車体を大きくした.ゴムを巨大輪ゴムに変更して6束にした.
チェーン&スプロケットで1軸に集約後,ギアで90度向きを変更.ハンドルを付けた操舵系.
前輪の固定が甘かったことと車体が重かったことで,本番では前輪が外れかけてギリギリ完走.2回目は完走できず.
前年の試験走行の回数に比べて,コンテスト前に練習不足だった.スケジュール管理の反省.
コンテスト後にあらためて前輪とクラッチの位置を修正することで,安定した走行を実現.
2018年
2016年から継続していた3年生が中心.新規に1年生が1名参加.最終的に6名くらいが活動.
2016年に回帰してコンパクトな車体に.ゴムは4束×4組(12kgくらい).
チェーン&スプロケットで1軸に集約後,ギアで90度向きを変更.チェーンもテンションかけて張った.
車軸にクラッチをつけ,制動距離の制限を満たすようにブレーキを全輪につけた.
バランスも良く,無駄のない良い設計だった.見た目が良いことも良い設計の証拠だと思う.
かなりの速度とパワーがあって,コンテスト1走目では全体の中で2位の記録.1走目はほぼ車体のベスト.
しかし,2走目でゴムを巻きすぎてギアボックスに負荷がかかって破損し,走行不可能に.
試験走行でやっていなかったことを,本番でやってはいけないという教訓.
コンテスト後にギアボックスを変更して,安定して人が乗って200mくらい持続走行することを確認.
◆学会誌などの成果◆
学会誌記事
正課内外におけるプロジェクト型学習の効果と問題点,設計工学,Vol.51,No.9,pp.599-606(2016)
ゴム動力車を題材にした正課内外のプロジェクト型学習の効果の比較,工学教育,Vol.66,No.2,pp.73-78(2018)
正課内外におけるゴム動力車プロジェクトの実施と成果,設計工学,Vol.53,No.10,pp.707-711(2018)
学内の予算
2015年度 学部長施策研究費
「学生のモチベーションを高めるための教育手法の開発 〜advancedゴム動力車の企画・製作〜」(代表:山川)40万円
2016年度 学部長施策研究費
「学生のモチベーションを高めるための教育手法の開発と検証 〜コンテスト参加を目標に〜」(代表:山川)46万円
2017年度 学部長施策研究費「ゴム動力車の車体・機構・ゴム動力の最適化に関する研究」(代表:山田)50.8万円
2018年度 学部長施策研究費「ゴム動力車の車体・機構・ゴム動力の多目的最適化に関する研究」(代表:山田)40万円
学内イベントでの学生発表
2016年度 理工学フォーラム ポスター発表
2017年度 理工学フォーラム ポスター発表
2018年度 工業技術研究所/生体医工学研究センター合同シンポジウム ポスター発表