1 事業の実施手順
本事業の実施手順は、次図に示したとおりである。概ね、資料調査、現地調査、見どころ資源の選定、バーチャルツアー撮影区間及びスポット撮影地点の選定、現地写真撮影調査及びインタビュー調査、バーチャルツアーの作成、ホームページの作成の順に実施している。
2 各作業の概要
(1)資料調査及び現地調査の実施
白山下地区における見どころ資源、バーチャルツアー撮影区間及びスポット撮影地点の検討に先立って、各種のガイドブックや文献等による資料調査、行政機関や商店会関係者に対するヒアリング調査を実施した。なお、効果的な情報発信を進めるためには、まずもって、学生などによって街がどのように認知されているかを定量的・客観的に明らかにすることが重要であると考えられたことから、ケビン・リンチが使用したイメージマップという手法を使って、学生による街の認知実態の客観的・定量的な分析調査についてもあわせて実施した。この調査の結果、主として「コンビニやドラッグストア等といった学生の利用機会が多い施設ほど認知される傾向が高いこと、経路上に記憶されている物が多いほど心理的距離は長く認知される傾向があること、白山下の交差点の形状の複雑さが、空間認知の障害になっているおそれがあること、主興味ポイントをできるだけ地区内に分散させて紹介することが認知領域の拡張及びその後の認知密度の向上に貢献する可能性が示唆されること」などが明らかにされた。
(2)見どころ資源の選定
調査及び関係者との調整の結果、見どころ資源としては、蓮華寺、東洋大学白山第2キャンパス、白山ピザ、たこ八、小石川白山教会(幼稚園)、SABOTEN(喫茶店)、ヤマザキ、幸楽苑(焼肉)、桃太郎(もんじゃ)、おおの(八百屋)、花梨(そうざいや)、セイジョー、セブンイレブンなどの通学路の沿線に位置する神社仏閣や店舗を選定した。
(3)バーチャルツアー区間及びスポット撮影地点の選定
撮影に要する時間や労力及び沿線の資源密度を考慮して、都営三田線白山駅のA1出口〜白山下交差点の区間についてはバーチャルツアー区間とするとともに、残りの白山下交差点〜東洋大学白山第2キャンパスの区間についてはスポット撮影地点として4か所の撮影地点を選定した。
(4)現地撮影調査及びインタビューの実施
現地撮影調査は、デジタルカメラによる外観撮影を基本として実施した。なお、資源の一部については、パノラマ映像を作成するための写真撮影を行うとともに、関係者に対するインタビュー調査及びビデオ動画の撮影を実施した。
(5)バーチャルツアーの作成
バーチャルツアーの作成方法には多種多様な方法があるが、本事業においてはパノラマテクノロジー社が作成・販売しているTourweaver6.5というプログラムを使用してバーチャルツアーを作成することとした。パノラマテクノロジー社(2001年11月に中国上海に設立)は、多彩で魅力的なVRコンテンツを作られることを目指して、バーチャルツアーソフトとソリューションを開発・販売してきている会社である。中でもTourweaverは、マルチメデイアプレゼンテーションにおけるバーチャルツアー作成ソフトとして世界各国で利用されている定評のあるプログラムである。
※参考:バーチャルツアー作成に要する労力等
バーチャルツアーは、臨場感の高い非常に有効な情報提供手法であるが、相当数のパノラマ映像を連続して使用するために、短距離の区間を対象としたものであってもその写真の撮影や加工編集には多大な労力や時間がかかることとなる。例えば、わずか100mの区間であっても、左右両側の歩道での撮影が必要になることから、実際の撮影区間は倍の200mとなる。また、バーチャルツアー上でのパノラマ映像の画角は100度であり、建物のファサードが十分に視認できるような視線入射角を確保できる範囲は限定的である。このため、連続して切れ目なく街並みを見せるためには、数mを基本とした間隔でパノラマ映像を撮影しなければならないことから、100mの区間であっても撮影ポイントは数十点以上が必要となる。
(6)ホームページの構成
ホームページの構成は、次図に示したとおりである。このホームページの作成に当たっては、誰にも見やすく分かりやすい頁構成(階層的な配列)となるように留意した。