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The Orient: 東洋大学RoboCup中型リーグのチーム

RoboCup 2007 Atlanta(世界大会)報告


最終更新日 2007-07-23 12:00(日本時間)(写真を追 加)

この記録は,参加者として,自分たちに関係する試合のみの記録です.
大会全体の公式記録は,RoboCup2007 Atlanta 公式ホームページ(英語版)記録のページ(英語版)を 参照して下さい.
うち, 中型 リーグの記録は, こ ちらを 参照して下さい.

我々のチームのWebサイトはこちら
RoboCup公式ホームページ(英語版)はこちら


このページの内容:

[大会概要] [東洋大学チームの結果] [RoboCup2007中型リーグの概要] [The Orientチームの概要] [参加チーム] [テクニカルチャレンジ] [一次予選グループ分け] [一次予選結果] [二次予選グループ分け] [二次予選結果] [決勝トーナメント] [我々の試合の詳細] [謝辞]


大会概要:

日程: 7月3日〜8日
場所: アメリカ,アトランタ市,ジョージア工科大学(ロボカップとしては初の大学開催)
主催: ロボカップ世界委員会
公式サイト: RoboCup2007 Atlanta 公式ホームページ(英語版)
大会参加者: 37カ国,300チーム,1700人

来年は中国,蘇州(上海の西)で7月中旬開催予定とのこと.


東洋大学チームの結果



RoboCup2007中型リーグの概要

期間: 2006年7月3日〜8日(大会),9日〜10日(シンポジウム)
場所: アメリカ,アトランタ市,CRC (Campus Recreation Center)
参加チーム: 11チーム(チーム一覧は後ろに表記) (19チームが事前の基準をクリアしたが, アメリカの開催のためヨーロッパのチームの辞退が続き,強豪だけが残った). その内訳は

日本:3,ドイツ:2,ドイツ+オーストリア:1,ポルトガル:1, スウェーデン1,オランダ1,イタリア1,中国1
(日本のチームは慶応大,九州工大,および東洋大+大阪大の,4大学3チーム)

試合方式:

一次予選: 11チームを2グループに分け,各グループ上位4チーム(計8チーム)が二次予選に進出.
二次予選: 8チームを2グループに分け,各グループ上位2チーム(計4チーム)が決勝トーナメントに進出.
その後準決勝,三位決定戦,決勝.

予選(Round Robin)はリーグ戦総当たり形式で試合を行い,勝ち点(勝ち3点,引き分け1点,負け0点)をつけ順位をつける.
順位は,勝ち点の多い方→同じなら得失差の多い方→同じなら総得点の多い方→同じなら直接対戦の勝った方,で決める.
準決勝以降はトーナメント.
試合スケジュール:
7月3日 テクニカルチャレンジ(グループ分け)
7月4日 一次予選
7月5日 一次予選と二次予選の一部
7月6日 二次予選
7月7日 準決勝2試合
7月8日 3位決定戦,決勝

campus of Georgia Tech.
ジョージア工科大学のキャンパス
Campus Recreation Center
会場となった体育館
venue
ロボカップ会場(手前がジュニア,奥がシニア)
gospel at opening
開会式は南部らしくゴスペルでスタート

中型リーグの公式ページはこちら

我々のチーム The Orient の概要

チームの紹介は,こちらを参照してほしい.

The Orientチームは,今年の世界大会では大阪大学Osaka Univ. Trackiesの要請により合同チームを構成した. 大阪大学のチームメンバーが十分な数がいないために単独参加できないという事情による. 我々としては,ロボカップでは歴史あるチームの合流によりチームが強化されるので歓迎である.

東洋大学グループの今回の構成は以下の通り.

チームメンバー(人間)

チームメンバー(ロボット)

番号 名前 ポジション

玄武
GK

白虎
DF

青龍
DF

朱雀
FW


遠征日程:
6月30日(土) 出発(デトロイト経由アトランタへ)
7月 1日(日) 準備作業
7月 2日(月) 準備作業
7月 3日(火) テクニカルチャレンジ
7月 4日(水) 一次予選1日目
7月 5日(木) 一次予選2日目
7月 6日(金) 二次予選
7月 7日(土) 準決勝
7月 8日(日) 3位決定戦,決勝
7月 9日(月) 帰途(日本へ)
7月10日(火) 帰国

unpacking
到着した荷物の開梱
adjusting
調整中


参加チーム(ABC順)

チーム名 組織母体 国・地域
Brainstormers Tribots オスナブリュック大学
ドイツ
CAMBADA アベイロ大学 ポルトガル
CoPS Stuttgart シュトゥットガルト大学
ドイツ
EIGEN Keio Univ. 慶応大学
日本
Hibikino-Musashi 九州工業大学 + 北九州市立大学
日本
ISocRob MSL リスボン工科大学 ポルトガル
Mostly Harmless &
AllemaniACs
グラーツ工科大学 &
アーヘン工科大学
オーストリア
ドイツ
NuBot 国防科学技術大学 中華人民共和国
Team Aros メラーダーレン大学 スウェーデン
TechUnited アイントホーフェン工科大学 オランダ
The Orient &
Osaka University Trackies
東洋大学 &
大阪大学
日本
全11チーム


テクニカルチャレンジ

これは競技大会の前1(7月3日)に,敵なしの状態で,純粋に技術のできを競う. 今年のルールの付録にその内容が記載されている. 共に技術の進歩を狙うために高い目標設定になっている.だから「チャレンジ」なのである.

テクニカルチャレンジ4:(任意のゴール)

青いゴールを白い布で覆った状態で,ロボットを自陣の任意の場所, ボールを相手陣地の任意の場所に置いてシュートさせる. 自分の位置を正確に計測できるかどうか,本来の色と違う色のゴールの位置を正確に測定できるかどうか, ゴールに向かってうまくドリブルしシュートできるかどうかがポイント. これはどのチームも苦戦し,あまり差がつかなかった. 我々はこちらを選択したが,そもそもボールの位置をうまく認識できず,ゴールできなかった.

テクニカルチャレンジ5:(任意のボール)

通常使っているNikeのオレンジ色のボールではなく,別の色や柄のボールを使ってシュートする. これは色認識以外に形状認識を高速に実行する技術がポイント. これを選択するチームは2チームと少なかったが,必ずしもうまく行かない.


一次予選のグループ分け (RR1: Round Robin 1)

 テクニカルチャレンジの結果,我々はグループBに入った. グループBはチーム数が少ないからグループAより有利に見えるが, 実際には強豪揃いのグループであり, 厳しい戦いになることが予想される. 一方グループAは3強3弱と言ったところ.くじ運が悪い.

RR1-A
(フィールドA)
RR1-B
(フィールドB)
Hibikino-Musashi
CAMBADA
Tribots
CoPS
NuBot
Tech United
ISocRob
The Orient + Osaka Trackies
Mostly Harmless + AllemaniAC
EIGEN
Aros
-


一次予選の結果

一次予選の結果は以下の通り. グループ分けがテクニカルチャレンジの順位なので, 上と似たような並びになっているのはある程度自然である.

 
グループA
グループB
1位
Hibikino-Musashi CAMBADA
2位
Tribots CoPS
3位
NuBot EIGEN
4位
ISocRob Tech United
5位
Mostly Harmless + AllemaniAC The Orient + Osaka Trackies
6位
Aros -

この結果,各グループの上位4チームが二次予選に進出.


二次予選のグループ分け (RR2: Round Robin 2)

二次予選のグループ分けは以下の通り
RR2-A
(フィールドA)
RR2-B
(フィールドB)
RR1-A組1位
Hibikino-Musashi
(九州工大他)
RR1-B組1位
CAMBADA
(ポルトガル)
RR1-B組2位
CoPS
(ドイツ)
RR1-A組2位
Tribots
(ドイツ)
RR1-A組3位
NuBot
(中国)
RR1-A組3位
EIGEN
(慶応大)
RR1-B組4位
Tech United
(オランダ)
RR1-B組4位
ISocRob
(ポルトガル)


二次予選の結果


グループA
グループB
1位
CoPS(ドイツ)
Tribots(ドイツ)
2位
Hibikino-Musashi(日本)
EIGEN(日本)
3位
Tech United(オランダ) CAMBADA(ポルトガル)
4位
NuBot(中国) ISocRob(ポルトガル)

この結果,各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出.



準決勝,三位決定戦,決勝

決勝トーナメントの結果は以下の通り.
tournament result

優勝: Brainstormers Tribots(ドイツ,オスナブリュック大学)
2位: EIGEN(日本,慶応大学)
3位: CoPS Stuttgart(ドイツ,シュトゥットガルト大学)

準決勝では共に日独の対決であった.
ベスト4に残ったうち3チームは昨年もベスト4に残ったチーム.

3位決定戦では九州工大Hibikino-Musashiが試合開始早々に先制したが, シュトゥットガルト大学CoPSは後半に追いつき,引き分け.PK戦では2-3で破れ4位に終わる.
決勝では慶応大学がオスナブリュック大学Brainstormer Tribotsに接戦の末破れ2位に終わる.
両試合ともレベルが高く,目を離せない試合.
Tribotsは昨年に続き優勝で,技術力の高さを示した.

これでこれまでの11回の大会の内, ドイツ6勝,日本5勝,アメリカ1勝(1997年第1回大会は日米両方が優勝)となった.

field
フィールドはこんなに広いです.
Final
決勝戦(Tribots vs EIGEN)


我々の試合結果詳細

以下は,個人的感想も含んだ,自分たちの試合のみの報告です.
中型リーグ全体の記録は,中 型リーグの日程と記録のページ(英文)を参照 して下さい.


一次予選グループB結果詳細

一次予選グループBの試合の詳細は以下の通り.

チーム名
CAMBADA CoPS Tech United Orient
+
Trackies
EIGEN
試合数 勝ち 引分け 負け 勝ち点 得失差 順位
CAMBADA
(ポルトガル)
- 7/4
9:00

2-0
7/5
9:00

5-1
7/4
12:00

6-0
7/4
15:00

4-3
4
4


12
+13
1
CoPS
(ドイツ)
7/4
9:00

0-2
- 7/4
16:00

3-1
7/5
12:00

6-0
7/4
13:00

2-1
4
3

1
9
+7
2
Tech United
(オランダ)
7/5
9:00

1-5
7/4
16:00

1-3
- 7/4
10:00

9-0
7/5
13:00


4
1

2
3
+3
3
Orient+Trackies
(東洋大+大阪大)
7/4
12:00

0-6
7/5
12:00

0-6
7/4
10:00

0-9
- 7/5
10:00

0-6
4


4
0
-27
5
EIGEN
(慶応大)
7/4
15:00

3-4
7/4
13:00

1-2
7/5
13:00


7/5
10:00

6-0
- 4
1

2
3
+4
4


1日目

第1戦 7/4 10:00
vs Tech United(オランダ)
スコア0−9

初戦.相手は今回参加していない強豪Philipsの影響を受けているようで, ループシュートと転がるシュートを蹴り分けることのできる機構を搭載した強豪チーム. 対するわれら合同チームは阪大のロボット2台と,東洋大のロボット4台でスタート.

今回はネットワークトラブルはほとんどない. ただ,Bフィールドの横に大きなガラスがあり,そこから外光が入る. そのせいか色がうまく取れないようで,ボールもゴールも位置をうまく測定できず, 結果としてフィールド上の自己位置を計算することができない. 動きが悪い間に相手が次々とループシュートを決めていき,結果としては大差で敗退.


第2戦 7/4 12:00
vs CAMBADA(ポルトガル)
スコア 0−6

相手は初戦と同じような強力キックを持つチーム. そのため引き気味にポジションして一発シュートを狙うという戦略. 我々は初戦より多少状況はいいもののゴールがうまく見えなかったり, 隣のヒューマノイドリーグのゴールを認識したりと,相変わらず画像認識がうまくない. 画像認識がうまくできなければロボットは動きようがないので,結果として動きが悪くなる. 初戦に引き続き大差で敗退.


初日終了時点で,Orientは0勝0分け2敗で5チーム中暫定5位. 一次予選突破が苦しくなった.

(ここまで現地時間7月4日記)


予選2日目

第3戦 7/5 10:00
vs EIGEN(慶応大学)
スコア 0−6

2日目となり,画像調整,電気配線チェック,全方向車輪の調整などだいぶよくなってきた. が,画像が取れないのか,行動選択のロジック(論理)が悪いのか,動きが悪い. 相手の慶応もそれほど快調とは言えないが,さすがにフリーな状態では得点する. 相手にシュートしやすいボールを献上するなど,アンラッキーもあり,敗退.


第4戦 7/5 12:00
vs CoPS(ドイツ)
スコア 0−6 

予選の4試合目ともなると,かなり会場の様子が分かってきてパラメータ調整が改善してきた. 相手は昨年の世界大会準優勝のチームだが,思ったより動きが悪いし,シュートミスもする. 前半0−2で耐えるも後半はこちらの不調退場が続き,結局0−6で敗退.


予選2日目で一次予選を終了し,0勝4敗で5位となり,二次予選に進出ならず. くじ運に恵まれなかったこともあるが,基本的にはできるはずのことができなかったことが敗因であろう.

(ここまで,現地時間7月5日記)

vsEIGEN
vs EIGEN
vsCoPS
vs CoPS(CoPSにループシュートを打たれた瞬間)

all members of Orient & Trackies
試合終了後の集合写真(大阪大学のメンバーと共に)

総評(反省をこめて)

技術的課題 -- 今後のために 人間側の問題


謝辞

 この活動は,本学工学部長の主導による「工学部中期計画」の一つであり, 東洋大学学長によって活動資金が支援されています. 平成17年度から開始され,平成22年度まで継続する予定です. この予算の半分は 文部科学省の補助金(「サッカーロボットの開発を通じた高度技術者教育」)を得ております. 研究開発のための費用だけでなく,学生と共に海外遠征する費用を支弁できるのは, この支援あってのことであり, 学長,工学部長ら大学のトップがこの活動に対して理解をして下さることに対し て深く感謝いたします. 他のチームの状況を見ると,他機関に頼ることなく大学自らがこの活動に これほどの支援を示している例は少なく, この点で,実践を通しての学生の教育に理解を示しているということで, 本学トップに先見性があるものと確信しております.

 またこの準備に当たっては,川越キャンパス教学課・総務課ならびに学長室など, 多くの事務の方々にご協力いただきました. 特に機材の海外輸出入手続き,学生の渡航手続きなど 前例のない事項に対しても迅速に対応していただいたこと,とても感謝しております. また工学部の教職員,学生,また学内外からも応援の言葉をいただき, いろいろな応援が我々の力となっています. この場を借りて,ご声援いただいているすべての方々に感謝申し上げます.

  ロボットは総合技術ですので, ロボットを学ぶことはさまざまな技術や知識を身につけることになります. 大会前には長期間にわたって技術開発を続けてきました. また会場入りしてからも,学生たちは慣れない環境の中, これまでの準備の成果を出そうと朝7時から夜10時まで会場で調整を続けました. 今回の大会では我々はよい結果を残すことができませんでしたが, その努力は評価されるべきでしょう. また外国の人々と同じ空間を共有し,議論を通して文化の違いを知り, また外国の雰囲気を味わえました. 参加した学生たちは多くの刺激を得たはずで,これは将来に渡って彼らの糧となるはずです. これはロボカップの活動の副次的な効果でしょう.目の前の勝敗にこだわりすぎることなく, 長い目でみて頂きたいと思います. ご声援ありがとうございました.


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