研究室の学生に期待すること
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Last update on 2008-12-02
ロボティクスとは?
- ロボットを勉強することはすなわち人間を学ぶことである.
- 仮想体験だけで育った子供たちが健全な精神を持たないのは
最近の「むかつく」事件で明らかになった.
実体験が足りなかったのである.
ロボットでも同様ではなかろうか.
本来,ロボットは実世界に作用を及ぼす機械なのである.
にもかかわらず,机上の空論,あるいはVirtualな世界だけで満足している
研究がいくつか見られる.
しかしながらPhysicalな世界を忘れてはならない.
ロボットを知的に,あるいは生物的に動かすためには,
情報工学の力を借りねばならないが,とかくvirtualな世界に
偏りがちである.ロボットでは「身体性」を忘れてはならない.
だから機械工学の人間がロボット工学を究める必要があるのである.
- しかし身体性だけでは不十分である.
ロボットには「心・技・体」のバランスが必要なのである.
- Sound intelligence in a sound mechanism!
機械でできた(将来的には化学物質でできるかも?)身体(体)を
コントロールする制御機構(技)と
それを健全に使いこなすハート(心)の絶妙のバランスが重要なのだ.
これを欠くと「単なる機械」になってしまう.
- ということは,研究者・開発者のわれわれ自身が
「心・技・体」をバランスよく持っていなければならないと
いうことがわかる.
そこで学生諸君に期待すること(もちろん自分自身にも言い聞かせる)
- ものごとに自主的に取り組む
- ものごとを前向きに考えるように心がける(ぼやいても何も生まれない)
- 好奇心を持ち,それを粘り強く続ける(あきらめない)
- 失敗を恐れない,失敗してもくじけない(あの天才エジソンもそうだった)
- まずは質よりも量.他人より質が劣るなら量で稼げ.
量を増やせば普通は質も上がる.
- 友人知人と議論を楽しむ
- 社会情勢への関心を持ち、常識を身につける(健全な精神)
- あいさつは社会の潤滑材.どうせするなら元気よく.
- 「結局は人柄」という言葉をよく聞きます.どう解釈しますか?
- 返事は明確に.Yes か No か Pending かをはっきり意志表示しよう.
- 話すときも文章を書くときも,正しい日本語を使う
(そうすれば英語もうまくなる?)
- そして,締め切りを守る!!
時間は有効に使おう.
Do it right, the first time!
トム・バイヤーさんに学ぶ
2004年11月3日,少年サッカーのコーチをしに全国を回っている
トム・バイヤーさんに会いました.
元アメリカ代表選手ですが,テレビ東京のおはスタに出てくるサッカーコーチと
いう方がわかりやすいかもしれません.
実演も交えながら,少年たちに実にわかりやすく説明して下さいます.
トムさんは,サッカーに必要なこととして,
- Concentration(集中力)
- 集中力がなければ試合に勝てません.
- この試合の重要性,自分の貢献できることはなにかを自覚することです.
- 他人の話をよく聞くというのも集中力だとのことです.
- Communication(コミュニケーション)
- サッカーはチームプレーです.一人ではできません.
- 状況に応じて適切なプレーをするために互いの意思の疎通が必要です.
- 普段の練習で仲間のプレースタイルを学ぶことも必要です.
- ボディーバランスも,体の各部分,例えば右足と左足が
チームメートにようにうまく連動して動くことだと解釈できるとのことです.
- Confidence(自信)
- 自信があれば余裕が生まれる.イマジネーションも豊富になる.
- 相手の意図を読もうとすることもできる,とのことです.
- 自信を作るにはどうしたらよいか? もちろん練習しかないそうです.
を挙げていました.説明の部分は多少着色していますが,
少なくとも項目は上記の「3C」です.
ふむふむ.サッカーでなくても他でも同じだぞと思いながら,
聞いていました.
それらの前提となるのが,
- 個人の技術
- 個人のスピード(動きのすばやさだけでなく判断のすばやさも含む)
だそうです.
大変いいことを聞いたと思いましたので,皆さんに紹介し,
私たちの研究室もこれで行きたいなと思います.
研究室の活動もチームプレーで,互いに切磋琢磨しながらも互いの長所・短所を
認めながら全体としてうまく動くように調整が必要です.
それの基本は各自の学力(技術力),気力,体力ですよね.
だから普段から努力をして,大いに活動しようではありませんか!
個々のテーマに関わらず学んでほしいこと
- ロボット工学に関すること(もちろん)
- 数学と物理(特に力学)はやはり基本
- 英語に慣れること
- Microsoft Office(Word, Excelによる文書作成, PowerPointによる発表技術)
- LaTeXによる学術論文・講演会予稿の文書作成法(Linux, Windows上)
- 複数のOS(Unix(SunOS, Solaris, Linux), VxWorks, Windows, MacOSなど)
- 複数のウィンドウシステム (X window (Linux), OpenWindows (SunOS, Solaris))
- 複数のエディタ(vi, mule, 秀丸, Jeditなど)
- 複数の計算機言語(C, C++, VB, Javaなど)
- ネットワーク利用のエチケット
- ホームページ作成による情報発信法
- 電子メールの活用方法
- UNIXの内部構成(特にシステムコール) -> VxWorks修得のため
- 制御用計算機のハードウェア
- A/D, D/A, Digital I/Oのこと,通信のこと
日常的に読んでほしいもの
- (学会誌)日本ロボット学会誌、日本機械学会誌、精密工学会誌
- (英文の論文誌)IEEE の Journal, Transactions
- (専門雑誌)日経メカニカル、インターフェース、UNIXマガジン,bit
などなど
研究室に入りたい3年生以下の学生へ
大学に入ってすぐに習う数学や物理に苦労する学生は多い.
私自身もその例外ではなかった.
これらを勉強すると何に役立つのか,何に使われるのかつながるのか
よくわからなかったのだ.
しかしそれは後からわかる.それから勉強すればいいじゃないか,と言えば
それまでであるが,独力で勉強するのは時間と根気が必要だ.
なかなかできることじゃない.
だから授業があるのだ.授業だと極めて効率的に学べる.それは後になってわかる.
早いうちからこの事実を認識すべきだと思うので,こういう文章を書いている.
ロボットを設計・製作・制御するためには,幅広い知識が必要である.
それらの基礎は1年次から始まっているので,がんばって学習して欲しい.
基礎を軽んじてはいけない.
いろいろな応用をするためには,確固たる基礎が必要なのである.
ただし,すべてを知っていなければロボットの設計や制御ができない,
という訳でもない.幅広い興味と,特定の分野の深い知識があればいい.
そう思えば多少気楽になるだろう.
さて,本学のカリキュラムにおいて,ロボット工学に関係する科目を列挙するので,
履修計画を立てるための参考にして欲しい.
直接関係する科目ばかりでなく,これからのエンジニアとして
身に付けるべき素養を含む科目も列挙している.
(注:
2003年までに機械工学科に入学した学生を対象としたカリキュラムに基づいている.
2005年入学の学生からは機能ロボティクス学科の学生を対象とするので,
後日そのカリキュラムに合わせて書き換える予定である.)
- 1年次配当科目
- 線形数学1, 2(座標変換に必要な「行列」の勉強)
- 微分積分学A,B,C,D(力学に必要な「微分積分」の勉強)
- 物理学(特に物理学1)
- 物理学実験
- 情報処理基礎,情報処理基礎演習
- エンジニアリング・プラクティス1
20単位
- 2年次配当科目
(科目数は少ないが関門なのでがんばって欲しい)
- 機械力学の基礎
- 材料力学の基礎
- 制御工学の基礎
- 計測工学の基礎
- 解析学A,B(2年次に履修してください)
- 応用物理学1
- エンジニアリング・プラクティス2
- 機械設計製図
26単位
- 3年次配当科目
- メカトロニクス
- ロボット工学
- 計算機システム
- 解析学C,D(3年次に履修してください)
- 応用物理学2
- 画像解析
- スペクトル解析
- CAD/CAM演習
- 生産システム
- ヒューマンインターフェース
- 信頼性工学
- 生産加工技術
- テクニカルイラストレーション
- エンジニアリング・プラクティス3
- 機械設計および演習
- インターンシップ
- 知的財産権および演習
39単位
ここには挙げていないが,
などもしっかり学んでおくとよい.
以上
学内の他のサイ