機械工学科 機械工学実験Ⅱ(3年春学期)
「ロボティクス・メカトロニクス」のテーマ
Practical work on robotics
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Last update on 2000-07-21
まえがき
従来この実験テーマは秋学期の実験Ⅲの中に含まれており,
隔週火曜に終日(4 コマ)で行っていました.
(その説明はここ.)
しかしながら平成13年度から実施予定の新カリキュラムの移行を考慮して,
秋学期の実験Ⅲは春学期の実験Ⅱと統合されました.
また時間割の組み方の基本方針として,
午前は講義中心,午後は実験・実習系の科目を置くこととしました.
そのため実験Ⅱに用意したテーマは
すべて毎週金曜午後の2コマで行うこととなりました.
統合によりテーマ数を増やしたこと,また一テーマ当りの学生数を考慮して,
1つのテーマに割く時間は従来の4コマから2コマに減りました.
これまでやってきた「ロボティクス・メカトロニクス」のテーマでは,
Rug Warriorという小型のロボットを使い,
C言語を使ってセンサ入力にしたがって動き回るプログラムを
書いてみることを主眼としていましたが,
これはどうやっても2コマでは実行不可能です.
そこで方針を変え,同等のことをC言語を使わずにできるものとして,
Lego社の Mindstorms というキットを使うこととしました.
これは物理的な世界とインタラクションする玩具であり,
いろいろとイマジネーションをかきたてられるものです.
実験の目的
Lego Mindstorms には、3種類のキットがあります.
この実験で使用するキットは Robotics developer set というもので,
9歳から使用できるものとして用意されているものです.
そのガイドにしたがって遊んでいるだけでは
大学生の実験テーマとしてはふさわしくありません.
科学的な視点からおもちゃを解析してみるという視点が必要です.
これを主目的とします.
具体的には,機構学的な視点,もしくはセンサ処理の視点,
動作アルゴリズムの設計といった視点で見てみましょう.
これによって新たな「ものの見方」を得て,
哲学の大学である東洋大学の学生としてふさわしくなりましょう.
もちろん,創意工夫をすること,
グループで議論しながらものを作り上げることにより共同作業を体験することも
目的としています.
実験の手順
- ガイドブックにしたがってサンプルを作る.
- グループで新たなメカニズムを考案し、制作する.
- 作成したものについて科学的な視点で評価する.
評価・考察の例
評価の仕方は,科学的な視点を持ちさえすれば特に限定しませんが,
例えば次のような視点で評価するといいでしょう.
いろいろな視点で評価し,深く考察すればするほどいいレポートとみなします.
機構学的な視点の例
- モータの回転運動がどのように伝達されているのか.
- 回転運動を並進運動に変換する方法はどのようなものがあるのか.
なぜその方法を採用したのか.
- 疑似直線運動を実現するにはどのような方法があるか.
実際に実現できるか.
- 作ったリンク機構を機構学的に解析する.すなわち数式で表現する.
この際,機械力学で習うベクトル表記がいいのか,
それともロボット工学で習う座標変換表記がいいのか.
材料力学的な視点の例
- レゴブロックの場合強度不足であるのはすぐにわかるだろう.
逆にこれを利用して,荷重がかかる場所が分かりやすいので,
どこの強度を高めるべきかを検討せよ.
ロボティクス的な視点の例
- センサ情報はモータの運動を決定するためにどう処理されているのか,
そのロジック(論理関係)をフローチャートに表してみよ.
より複雑なロジックを実現するにはどうしたらよいのか.
- センサの種類や信号の形式が変わったらどうしたらいいのか.
レポートに書くべきこと
- Lego Mindstormsの概要(取扱説明書他,下記Webを参照のこと)
- 作成した作品の設計思想,機能,構造の説明
- 科学的な視点による考察
これらはグループで共同で一つのレポートにまとめます.
さらに
を加えて,レポートを提出してください.
実験実施後1週間以内に実験担当者に提出し面談を受けます.
場合によっては追加修正を指示されるかもしれませんので,そのつもりで.
参考資料
Mindstormsに関する情報は,本家本元から
http://www.legomindstorms.com
にありますし,ユーザが作った
http://www.mi-ra-i.com/JinSato/MindStorms/index.html
もあります.
また,1999年2月に NTT の
Inter Communication Center
が行った
『共生する/進化するロボット』展
で Lego Mindstorms を使っての体験講座がありました.それについての情報が,
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-SanJose/4811/icc-lego/index.html
にあり,そのレポートが ASCII 社により
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/990208/topi02.html
と
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/990215/topi01.html
に取り上げられています.
また,埼玉大学工学部情報工学科の情報工学実験での実施例が,
http://www.me.ics.saitama-u.ac.jp/lab/MStorms/
に書いてあります.
我々のと違うキットを使っていますが (Robotics Invention System),
作品の例がありますので,参考になるでしょう.
Edited by
Akihiro MATSUMOTO