2011年8月28日-9月4日 IFAC2011 in Milan


 第18回IFAC World Congressに参加した.3年に1回開催される制御工学関係の大きな国際会議である.26室並列で,5日間開催される.私は4日目の午前中,第20室での発表だった.
 今回の開催場所は,イタリア・ミラノのUniversita Cattolica del Sacro Cuore.日本からの参加者も多かった.会場の大学はとても古い建物で趣があり,こんな大学で勉強したら賢くなりそうだなぁなんて思った.特に,特別講演の会場は,教会のようなアーチ型の梁と彩色された漆喰でできた天井で,格調高い感じだった.
 
 以下は,学会の内容とは関係ない話.

◆海外旅行
 海外旅行は嫌いじゃない.むしろ,好きだったのだが,最近は憂鬱である.
 なぜなら,
ハマる確率が高い気がするからだ.ツボにではない.ワナに,だ.

 1.大学二年生のときに行った中国では,
   北京で取ったチケット予約が取り消され,上海行きの列車に乗れなかった
   →2日後の飛行機の出発時間ぎりぎりの列車のチケットをとりなおし,奇跡的に飛行機に間に合った.
 2.始めて行った国際会議では,
   
ギリシャ国内便が1時間以上遅れ,日本行きの飛行機に置いていかれた
   →アテネで数時間交渉したが,結局一泊した後,航空券を買い直して,イギリス経由で帰国した.
 3.ツアーなら大丈夫だろうと思っていたら,
   
ドイツ行きの飛行機が1時間以上遅れ,やはり日本行きの飛行機に置いていかれた
   →フランクフルトで一泊した後,ツアー客は個別に,いろんな経路(私は韓国経由)で帰国した.

 ツアーですらハマったので,次に海外に行ったら,日本に
帰って来れないんじゃないかと半ば本気で思っていた.

 そして,
今回のトラブルは,行く前に起きた


◆トラブル
 出発一週間前に足を骨折した.
 バランスを崩して足をひねった.捻挫だと思ったが,夜になって腫れてきたし,大事をとって休日診療に行った.
 4時間待たされた...まぁ,軽いと思われて,後回し,後回しだ.
 が,レントゲン写真を撮ったら,左足の甲の骨折が判明.急に大げさな雰囲気になって簡易ギブスをつけられた

 医:「
付き添いの人はいますか?
 私:「いえ.」
 医:「
えっ」 ←大人なんだから,一人で病院に来るのは普通でしょ?
 医:「
じゃ,松葉杖を貸しましょう.使ったことありますか?
 私:「いえ.ないです.」
 医:「
え〜」 ←使ったことないのが,普通でしょ?

 渡された松葉杖を使ってみたら,とてもバランスが悪く,むしろ転びそうだったので断った.
 
車が運転できて良かったオートマチック車で良かった.左足で良かったと思いながら,小雨の中をトボトボ帰宅.

 
翌日,整形外科に出向いた.

 医:「(レントゲン写真を見ながら)
よくある骨折です.そんなにひどくないし. ←よかった〜.テーピングで何とかなるかな
 私:「あ,(昨日,外科でつけてもらった簡易)ギブスを外した方が良いですか?」
 医:「
もったいないから,そのままでいいよ.薬もいらないし,自然に治ります.」 ←簡易ギブスのまま無処置の方針らしい
 私:「いや,来週海外出張なので,
これ(ギブス)は困ります.テーピングとかになりませんか?
 医:「
海外?どこに行くの?
 私:「はぁ,イタリアです.」

 医:「イタリアね.」 ←え,それ,カルテに書くの!?
 医:「
じゃ,ちゃんとしたギブスつけましょう ←ちょっと待てっ.聞こえてる??逆だってば
 医:「
切り込み入れて外せるようにしてあげるよ♪臨機応変にね ←待て待て
 私:「いや...あ,ギブスってことは松葉杖ですよね?」
 医:「
そうなるね. ←おいおい
 私:「松葉杖,使えませんしっ.」
 医:「
あら,そうなの? ←だから,普通は使えないって
 私:「だから,テーピングとかになりませんか?」
 医:「
リハビリ室で使い方を練習していけるから.」 ←いや,そうじゃなくて!
 医:「
ギブス,楽だよ♪.飛行機では脚を伸ばしてね,こうやって足をあげてね♪
 私:「エコノミーですから,のばせませんよ.」
 医:「
あ,エコノミーか.」 ←一般人はエコノミーなんだよっ
 医:「
ま,隣の部屋でギブスを作ってもらいなさい.じゃ. ←え〜

 どうも,医者との意思疎通が上手くできない気がする.
 結局,
立派なギブスをつけられた.ギブスの作り方は面白かった.出来上がりもキレイだ.
 私の足だけにぴったり合う,まるでシンデレラの靴...
 いやいや,それより,問題は松葉杖だ.すごく疲れる.歩けない.だめだ,こんなんじゃ,出張に行けない.
 そして,両手が使えないではないか!
 が,リハビリ室のお兄さんが,松葉杖を1本だけ使う方法を教えてくれて,荷物を持って歩けるようになった.
 ちなみに,リハビリのお兄さんも「え,松葉杖,初めてですか〜」と言った.


◆松葉杖で飛行機

 乗れるらしい.持ち込みもできるらしい.航空会社に電話したら,「車いすのリクエストをかけてください」とのこと.
 そして,空港に行くと,チェックインの後,車いす登場.
 出国審査,手荷物検査を通って搭乗ゲートまで車いすで運ばれた.
 いずれも特別窓口を通ったので速かったが,それより何より,恥ずかしかった.
 さらに,一番に車いすで飛行機に搭乗だ.ただし,普通のエコノミーの席で入口に近いわけでも何でもなかった.

 ローマに着いて,飛行機を降りようとしたら,車いすが迎えに来た.
 ミラノへの乗り継ぎがあるというと,車いすのまま,事務所みたいなところへ.
 そして,スタッフは電話をかけた後,他のスタッフ達とイタリア語で会話をしだす.何かを待っている様子だが,ちょっと不安.
 10分ほどすると,4人乗りのカートが到着.それに乗れとのこと.カートでローマの大きな空港内を移動.
 入国審査も別窓口だ.
 搭乗ゲートで再び車いすに乗り換えて,やはり一番に飛行機に搭乗.ま,やはり入口からは遠いんだけど.

 ミラノ(リナーテ空港)でもスタッフ登場.今度は短い距離だからと自力で歩いたけれど,スーツケースはスタッフが取り上げてくれた.
 そして,タクシーも呼んでくれた.
 タクシー乗り場は大行列だったので,素直に
ラッキーおかげで思ったより順調にホテルに到着だ.


◆もういいです
 松葉杖の存在感は大きい.
 というわけで,学会会場ではさすがに恥ずかしいので,医者の「臨機応変にね♪」という言葉を信じて,湿布とテーピングで出席.
 まぁ,それでも歩き方がおかしいから,目立つような気がして恥ずかしかったけど.
 そんなこんなで,開催期間が長い学会なので,開催終了の頃には結構歩けるようになっていた.

 だから,帰路では,ミラノのチェックインカウンターで車いすをキャンセルした.
 が,ローマでも成田でも車いすが待っていた.どうやら,ミラノのリナーテ空港内にしか伝わっていなかったようだ.
 ローマにいたっては,3回もスタッフが来た.
 最後のスタッフは搭乗開始直後に来て,自信たっぷりに「いいから,私についてこい」と言う.
 ついていったら,エレベータに乗せられて放置されかけた.え,ワナ?もしかして,ワナですか???
 ここで搭乗が遅れたら,
また飛行機に置いて行かれる...スタッフには悪いが,勝手に搭乗させていただきました.
 きっと,探していただろうなぁ...ごめん.


◆喉元すぎれば

 まぁ,いい経験というか(1
回だけで十分だけど).
 振り返ってみれば,ギブスをつけられて良かったと思う.整形外科の医師の判断は的確だったんだと思う.
 行きのローマ空港は,怪我をした足でよたよたと歩いていたら,あの乗り換え時間では間に合わなかっただろうし,ホテルではずっとギブスをはめていたから,固定できて回復が速まった気がする.
 空港の車いすサービスを体験できたし...
 病院の様子もちょっとだけ垣間見れたし...

 しかし,
油断大敵.健康・安全には気をつけよう!と思った.