検診のこと

 普段,医者にかかることがとても少ない.川越に来て5年目になるけれど,風邪で医者にかかったことすらない.
 でも,「医者に行く人の方が長生きする」なんて話もあるし,しっかり働くためには健康一番だし!
 というわけで,毎年,真面目に人間ドックの検診は受けている.
 

 「
人間ドックで,異常なしの人は1割以下」というニュースを聞いたが,医者知らずの私も見事に毎年落第している.それも「要検査」レベル.そして,今年の二次検査は今まで以上に豪勢であった...保険適用前なら10万円くらい.まぁ,毎月高い保険料を払っているのでたまには使わないとね.

◆ 内視鏡検査

 高校時代から,頻繁に胃痛が起きている.最初に痛くなったときに医者に行ったら,
胃酸過多との診断だった.その後,定期的に年1回ずつくらい痛くなっていた.高校時代は部活をしていた記憶しかなく,ほとんどストレスはなかったと思うので,神経性じゃないと思うのだけどな.どんな病気もなってみないとわからないと思うが,ナポレオンがおなかに手を当てていた気持ちがよくわかったね.で,大学時代にかけて色々な胃薬を買って試した.薬によっては吐き気を伴い,電車の中で座り込んだこともある.ここで吐いたらどうしよう...なんて思いつつ,つぎの駅で降りたものだ.大学の校医に相談したら,「その症状なら,十二指腸潰瘍でしょう」と言われた.「ヘリコバクター・ピロリ」がニュースになった大学院時代,後輩からピロリじゃないですか?とからかわれたことも.助手時代には年2回以上のペースで痛くなり,いつもコランチルAという(看護婦の友人曰く,弱い)胃薬を飲んでいた.この頃はもう「持病」という感覚.給料貰うようになってストレスも増えたしねぇ.

 で,東洋大に来て人間ドックを受ける年齢になり,始めて胃のレントゲンを受けた.再検査で胃カメラかもと半ば覚悟していたが,1年目はたまたま胃の調子がいい時期だったらしく,問題なくクリア.ある意味肩すかし.
 2年目は見事にひっかかり,
胃カメラ初体験.胃カメラではやはり十二指腸潰瘍が見つかり,細胞と粘膜を検査したらピロリ菌がいることが判明.もしかして,ピロリ除菌をすれば長年の持病とおさらばできるかも!と除菌する気になっていたのだが,そのときの担当医は「日本人の多くがピロリ菌に感染しているからねぇ」と煮え切らない態度.「あの...よく痛くなるんです.今もちょっと痛いです」と言ったら,除菌薬じゃなく,胃薬をくれた...おいおい.
 翌年は,「今年もレントゲンではちょっと十二指腸の形が変だけど,去年,胃カメラやっているから,今年はもう良いよ」と再検査免除.おや?
 4年目はレントゲンで異常なし.おやおや?胃痛の頻度も上がってきたし,そろそろ本気で除菌したいんですが...
 そして,5回目の今年.昨年末から今年にかけての胃痛は夜中に目が覚めるくらいひどかったし,長引いていたので,何とかしてくれって感じだったのだが,何故か今年もレントゲンは異常なし.そうかい,そうかいっ.他の病院へ行って除菌するか?

 ところが,今年は胃じゃなくて
大腸内視鏡を受けることになった.ついでに貧血らしく(←無自覚),二次検診の担当医が「貧血ですか...おや,以前に十二指腸潰瘍もやっていますね.じゃ,胃カメラもやっておきましょう」との即断.胃の辺りで出血しているかも,ということらしい.「鼻から行きましょう.楽ですからね♪」 何故か語尾に音符が見えた...気がする.

 まずは2009年8月24日に
大腸内視鏡.前日は用意されたレトルトの検査食(おかゆと薄い味噌汁など)しか食べられません.正直,ひもじかった.そして,何よりも当日の下剤を飲むのがとても辛かった.検査日は朝6時から2時間以上かけて液体の下剤(1.8リットル)を飲む.味はそんなに悪くない.まぁ,ポカリスエットに似ているような...が,前日から微熱があったこともあり,途中で吐き気が.酒に酔って気分悪くなったときにちょっと似ていた.これってやばいんじゃないかと思いつつも,ここでリタイアしたら,また,あの検査食から始めなくてはいけない...嫌だ.横になったりしながら,何とか耐えて1.8リットルを飲みきり,ふらふら〜っと歩いて病院へ.
 検査自体は,胃カメラより楽だったように思う.始まる前はものすごく怖かったはずだが,まぁ,のどもと過ぎればナンとやら,である.
 ちなみに,モニターで見ると大腸の中って案外つるっとしているものなのだなと思った.ドキドキしつつも,結果はポリープすら見つからず,異常なし.

 一日間をおいて,8月26日に
胃カメラ(さすがに同じ日や翌日は無理とのこと).胃カメラは前日夜9時以降の絶食のみ.今回は鼻からだけど,胃カメラは2回目だし,気持ち的にはちょっと余裕.
 しかし,
「鼻からは楽」と聞いていたがとんでもない.苦しいじゃないか.「鼻からだと話すこともできます」なんて話だったけど,声のかわりに涙が出た.その代わり,ものすごく速かった.がんがんグイグイ入れてパチパチ撮る.本当に見てるんですか?という速さ.とはいえ,その早業の中で十二指腸潰瘍の痕と胃炎の痕を見つけ,挙句,「二十歳くらいから胃痛を繰り返しているでしょう.」との指摘.いや,恐れ入った.
ゆっくり安心感を持たせながら痛くないようにやってくれることも患者としては嬉しい.一方で,どうせ苦しいなら説明とか多少の苦痛には目をつぶって最大限の速さでテキパキやる.多くの患者を診るためには後者もありかと,感心した.
 
 
内視鏡は映像がすごく鮮明だった.血管の中に血が流れている様子までカラーで見える.リアルに自分の内側を見てしまった...でも,内側だと思っていたけれど,消化器っていうのはどこかを切開することなく外部から入っていける.つまりは,大気がそのまま入る.そう考えると”外”なのかもしれないな.空気が汚れていればそのまま消化器も汚れるかも,なんて思った.
 
 さて,以上の内視鏡検査の後,担当医からの結果説明.
 「良かったですね.両方とも異常ないです.まぁ,
十二指腸潰瘍の痕があったってことですから,ピロリ菌がいるかもねぇ」
 「以前,いるって言われました!」 
今だ!
 「(過去のカルテをめくる医師) あ,いるいる♪除菌しておきましょうか?」
 「やります!」
よし!
 ということで,今年の辛かった内視鏡検査の結果とは直接関係はないけれど,ついにピロリ菌を除菌することになりました.

◆ ピロリ除菌

 ピロリ除菌は,7日間,抗生物質を飲みます.朝夕2回,決まった時間に,除菌薬と胃薬などを一緒に飲みます.一回分がわかるように,シートに分かれて入っています.この厳重さがむしろ怖い.飲み間違えたらとてもまずいってことか?実際,副作用が出る人もいるらしいです.下痢とか吐き気とか.説明書には,多少ならば我慢して,ひどかったら医者に行けと書いてあります.
 普段,私は胃薬以外は風邪薬すら飲まないので,効きすぎたらどうしようなんて心配していました.しかし,飲んでみると,全く副作用なし.むしろ,朝夕8時に薬を飲むために早寝早起きをして規則正しく生活したおかげで,体調は絶好調.難なく7日間飲みきりました.医者に言ったら「そりゃすごい.成功するかも♪」とほめられた(笑).除菌に失敗することもあるらしいです.
 除菌成功したかの確認のため,2ヵ月後に尿素呼気という検査を受けました.9月2日に薬を飲み終えたので,11月10日に検査.前日夜9時から絶食.で,検査は,息を紙袋に吹き込む.つぎに薬を飲んで20分待ってから,また,息を紙袋につめる.これだけで終了.なんて楽な検査でしょう.

 その後,胃痛も起きず,副作用(胃酸の逆流とか)もなく,平和な毎日.除菌成功しているといいなぁと思いつつ,迎えた結果発表.
 
 おめでとう,私!
除菌成功です.さらば,ピロリ菌!さらば,胃痛!