2007年6月13-14日 講習会「ディジタル制御入門」

ある日,母校名古屋工業大学機械工学科で准教授をしている兄弟子から電話があった.妙にまじめに...「一緒に講習会の講師をやらない?」
企業の方を対象にした講習会とのこと.「企画会社からの提案は,
非ホノロミック系の制御だけど...」 → 二人の共通意見は,無理,だ(笑)...2時間ならまだしも,2日間も持ちません.
ということで,兄弟子曰く,「
ディジタル制御入門はどうかな.」と.実は,私も兄弟子も,博士論文はディジタル制御だったのだ.私のD論は,「2-delay制御に関する研究」で,確か,兄弟子は,その名もずばり「ディジタル制御に関する研究」だったはずだ.講習会で「ディジタル制御」だと,基本的な内容になりそうだけれど,それなら時間的にも内容的にも大丈夫そうですねということで一緒に担当することになった.

正直なところ,
ディジタル制御入門というテーマでは,そんなに人は集まらないのでは,と思っていた.ところが,ふたを開けてみたら,定員オーバーで,募集を打ち切った後も問い合わせがあったくらいの盛況ぶりだったらしい.企画会社の担当者はニコニコしていたな.

考えてみたら,
ディジタル制御って,私は大学院のときに独学?で学んだんだな.マルチレート制御の研究論文を紹介をするために,研究室の棚や図書館にあったディジタル制御の本を読んだのだった.そして,「院生2名+教授ほか2,3名の先生」という緊張感あふれるゼミの中で,恩師や当時助手だった先生方にいろいろと教えてもらったものだ.そういえば,スカイフックダンパーの論文も,このゼミの中で同期が紹介していたな.

話を戻して,私も
ディジタル制御の授業を受けたわけでなかった.だから,ディジタル制御の話を聞いたことがなく,講習会を受けてみようという人が多くても,何の不思議もないのだな.さらには,現代制御だって学部の授業科目には含まれておらず,大学院の講義で初めて学んだのだ.確か,私の学年で,現代制御の大学院講義を選択したのは15人にも満たなかった.つまり,機械工学科同期生のうち,残りの150人近くは,現代制御を習っていないのだ.現代制御の講習会にも応募が多かったそうだが,納得いく話だ.

さて,今回,聴講者に関する事前情報といえば,「こちらが提示した内容を読んで応募した人である」ということだけだった.当然,こちらの予想と違う点が多かった.一番驚いたのは,「Matlabが使える」人がほとんどだったことだ.これは,学生と大きく違う.数年前は「Matlabの導入を考えているけれど,高価なので...」という企業の声も聞いていたのだが.景気がよくなったせいか?また,長い式展開なども,参加者の方々はしっかりメモしていた.当たり前といえば当たり前だろうが,学生と比べると新鮮で...(笑).私は,時間も限られているし,なるべく結果だけを要領よく,と思って話をしたのだが,もっと理論的な部分が聞きたかったというコメントがあったのは驚いた.


そう,今回,初めて講習会参加費の価格を知ったが,なかなか高い.参加者の方々に,講習会参加費と時間に値する何かを持って帰ってもらえたなら良いのですが...と,思う一方,思わず講習会の参加費と,大学の授業単価を比べてしまった.もちろん,大学の方がうんと安い.1/3くらいか.ということで,

  
今,頑張るのだよ,学生諸君!社会人になってから講義を聴こうとすると高いぞ!!!

と学生に話している.

私が講義の対価としていただいているのは,参加費や授業料のうちのほんの一部ですが,それでも,その講義に支払われている総額を思うと,気を引き締めて講義をせねば!と改めて思ったのでした.


講習会は,都庁(上写真)の近くの(下写真のホテルの奥にある)ビルの22階で行いました.