TM's Papa 父・代官山康宏


 

 まだ黒いまわしなので、幕下のころだろうか。

 キッとにらんで、立ちあいの刹那。

 自分が生まれたのは引退後だったので、この勇姿を実際に見ることはできなかった。残念。


 
 この写真も、おそらく幕下時代。

 幕下というのは、関取になる一歩手前の地位のことです。プロ野球なら、2軍のトップクラスといったところ。

 相撲の世界では、幕下の上の十両にあがって、はじめて一人前(関取)になります。



 十両になったばかりのころ。ケガに泣かされ、苦節10年。よかったあ。

 関取になると、いいことばかり。後援会ができて、このように化粧廻しが贈られます。化粧廻しはいまでも、お袋が1年に1回、から干ししています。

 これ以外にも、関取の特権は盛りだくさん。個室が与えられ、付け人もついて、朝も遅くまで寝られて、お給料が出ます。まげも、大銀杏が結えるのだ!


 やっちゃんスマイル。腕の時計はローレックス。お相撲さんは、けっこう、おしゃれなんです。しかも、多くの場合、高級品を後援会のお偉いさんからプレゼントされるんですよ。

 引退後も、ちょくちょくブランド品をもらってきてくれた。親父はあまり外見にはこだわらないタイプだったので、自分や妹やお袋がしっかりいただきました。

 相撲取りをやめた後は、そのまま相撲部屋に残って、ずっと「ちゃんこ長」をしていました。でも、自宅ではちゃんこ鍋を食べた記憶がないんだよな、これが。



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