斜面を下り落ちる物体の運動
摩擦のない斜面(水平線とのなす角度をθとする)を滑り落ちる質量mの物体の運動を考察しよう.物体の滑り落ちた距離をx とすると、斜面に沿った方向の力は重力mg Sin[θ] であるから、運動方程式は、
In[1]:=
Out[1]=
で解くことができる.積分定数C[1], C[2]は初期条件によって決まる.ここで、t =0で x[0] =x0, x'[0]=0 であったとすると、
In[2]:=
Out[2]=
とすれば、解を得る.もちろん.上の積分定数を含んだ解を使ってこの解を導き出してもよい.この解をx[t]と定義する.
In[3]:=
Out[3]=
例1 物体が距離x0滑り落ちたときにかかる時間を求めよ.
In[4]:=
Out[4]=
マイナスの解は物理的意味をなさないので求める時間は
となる.
例2 物体が距離x0滑り落ちたときの速さを求めよ.
速さv[t]は
In[5]:=
Out[5]=
であるから、求める速さは、
In[6]:=
Out[6]=
または、加速度が-g Sin[θ] であるから、v^2-v0^2==2a(x-x0) という公式を使うと
In[7]:=
Out[7]=
となり上と同じ解を得る.(もちろん Csc[x] ==1/Sin[x] である).
アニメーション
滑り落ちる距離x[t]は
In[8]:=
Out[8]=
であったから、物体の位置{X, Y}は原点をx0滑り落ちたところとすれば、
In[9]:=
Out[9]=
となる.したがって、例えば、
In[10]:=
In[12]:=
Out[12]=
違った角度での落下をsimulationするには、
In[13]:=
In[15]:=
Out[15]=
などとすればよい.
斜面を下り落ちる物体の運動 (台が動く場合)
摩擦のない斜面(水平線とのなす角度をthetaとする)をもつを質量Mの物体Aと、その斜面を滑り落ちる質量mの物体Bとの運動を考察しよう.物体Bの滑り落ちた距離をx とし、物体Aの重心の水平軸座標をZとする.物体Aと床との摩擦はないものとする.(下図を参照.これは上の作図法を利用した(結果的には表現がややこしくなってしまったが...).textを加えたいときは、最初に物体の図を描き、図をポインタで選びコマンドキーを押しながら文字を置きたい場所の座標を読みとる.コピーを使えば座標を覚えなくてもよい.)
In[16]:=
Out[18]=
まず、次の記号の値を消しておく.
In[19]:=
物体Aから物体Bにかかる抗力をR, 物体Bの座標を{X, Y}, 物体Aの座標を{Z, 0}とするとニュートンの第二法則より
の3式が得られる.また、物体Bは物体Aの上に存在するから(constraint condition, 束縛条件)、
( X[t] - Z[t] ) Tan[θ] == Y[t]
でなければならない.運動方程式からRを消去する.
In[20]:=
Out[20]=
今度は束縛条件から
であることに注意してY"を消去する.
In[21]:=
Out[21]=
従って、初期条件を次のように仮定して微分方程式を解く.
In[22]:=
Out[22]=
In[23]:=
Out[23]=
解が求まったのでX, Zの定義を行う.
In[24]:=
Out[24]=
従ってYは
In[25]:=
Out[25]=
となる.運動量を計算すると
In[26]:=
Out[26]=
となり水平方向の線運動量が保存されていることがわかる.エネルギー(運動エネルギーと位置エネルギーの和)はどうか?
In[27]:=
Out[27]=
となり時間によらない.値はt=0のときのエネルギー値である.求めた解が正しいものであることが上の計算により確かめられた.最後に、もしmが大きければ上と同じ解をえるはずである.例えば、
In[28]:=
Out[28]=
In[29]:=
Out[29]=
より滑り落ちた距離xは
In[30]:=
Out[30]=
すなわち、
In[31]:=
Out[31]=
となり(物理的考察より符号を選んだ)同じであることがわかる.
上の結果を使って上のようににアニメーションをつくってみよ.
In[32]:=
In[34]:=
Out[34]=