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斜面を下り落ちる物体の運動

摩擦のない斜面(水平線とのなす角度をθとする)を滑り落ちる質量mの物体の運動を考察しよう.物体の滑り落ちた距離をx とすると、斜面に沿った方向の力は重力mg Sin[θ] であるから、運動方程式は、

In[1]:=

"5inclineVer7_1.gif"

Out[1]=

"5inclineVer7_2.gif"

で解くことができる.積分定数C[1], C[2]は初期条件によって決まる.ここで、t =0で x[0] =x0, x'[0]=0 であったとすると、

In[2]:=

"5inclineVer7_3.gif"

Out[2]=

"5inclineVer7_4.gif"

とすれば、解を得る.もちろん.上の積分定数を含んだ解を使ってこの解を導き出してもよい.この解をx[t]と定義する.

In[3]:=

"5inclineVer7_5.gif"

Out[3]=

"5inclineVer7_6.gif"

例1 物体が距離x0滑り落ちたときにかかる時間を求めよ.

In[4]:=

"5inclineVer7_7.gif"

Out[4]=

"5inclineVer7_8.gif"

マイナスの解は物理的意味をなさないので求める時間は

"5inclineVer7_9.gif"

となる.

例2 物体が距離x0滑り落ちたときの速さを求めよ.

速さv[t]は

In[5]:=

"5inclineVer7_10.gif"

Out[5]=

"5inclineVer7_11.gif"

であるから、求める速さは、

In[6]:=

"5inclineVer7_12.gif"

Out[6]=

"5inclineVer7_13.gif"

または、加速度が-g Sin[θ] であるから、v^2-v0^2==2a(x-x0) という公式を使うと

In[7]:=

"5inclineVer7_14.gif"

Out[7]=

"5inclineVer7_15.gif"

となり上と同じ解を得る.(もちろん Csc[x] ==1/Sin[x] である).

アニメーション

滑り落ちる距離x[t]は

In[8]:=

"5inclineVer7_16.gif"

Out[8]=

"5inclineVer7_17.gif"

であったから、物体の位置{X, Y}は原点をx0滑り落ちたところとすれば、

In[9]:=

"5inclineVer7_18.gif"

Out[9]=

"5inclineVer7_19.gif"

となる.したがって、例えば、

In[10]:=

"5inclineVer7_20.gif"

In[12]:=

"5inclineVer7_21.gif"

Out[12]=

"5inclineVer7_22.gif"

違った角度での落下をsimulationするには、

In[13]:=

"5inclineVer7_23.gif"

In[15]:=

"5inclineVer7_24.gif"

Out[15]=

"5inclineVer7_25.gif"

などとすればよい.

斜面を下り落ちる物体の運動 (台が動く場合)

摩擦のない斜面(水平線とのなす角度をthetaとする)をもつを質量Mの物体Aと、その斜面を滑り落ちる質量mの物体Bとの運動を考察しよう.物体Bの滑り落ちた距離をx とし、物体Aの重心の水平軸座標をZとする.物体Aと床との摩擦はないものとする.(下図を参照.これは上の作図法を利用した(結果的には表現がややこしくなってしまったが...).textを加えたいときは、最初に物体の図を描き、図をポインタで選びコマンドキーを押しながら文字を置きたい場所の座標を読みとる.コピーを使えば座標を覚えなくてもよい.)

In[16]:=

"5inclineVer7_26.gif"

Out[18]=

"5inclineVer7_27.gif"

まず、次の記号の値を消しておく.

In[19]:=

"5inclineVer7_28.gif"

物体Aから物体Bにかかる抗力をR, 物体Bの座標を{X, Y}, 物体Aの座標を{Z, 0}とするとニュートンの第二法則より

"5inclineVer7_29.gif"

"5inclineVer7_30.gif"

"5inclineVer7_31.gif"

の3式が得られる.また、物体Bは物体Aの上に存在するから(constraint condition, 束縛条件)、

( X[t] - Z[t] ) Tan[θ] == Y[t]

でなければならない.運動方程式からRを消去する.

In[20]:=

"5inclineVer7_32.gif"

Out[20]=

"5inclineVer7_33.gif"

今度は束縛条件から

"5inclineVer7_34.gif"

であることに注意してY"を消去する.

In[21]:=

"5inclineVer7_35.gif"

Out[21]=

"5inclineVer7_36.gif"

従って、初期条件を次のように仮定して微分方程式を解く.

In[22]:=

"5inclineVer7_37.gif"

Out[22]=

"5inclineVer7_38.gif"

In[23]:=

"5inclineVer7_39.gif"

Out[23]=

"5inclineVer7_40.gif"

解が求まったのでX, Zの定義を行う.

In[24]:=

"5inclineVer7_41.gif"

Out[24]=

"5inclineVer7_42.gif"

従ってYは

In[25]:=

"5inclineVer7_43.gif"

Out[25]=

"5inclineVer7_44.gif"

となる.運動量を計算すると

In[26]:=

"5inclineVer7_45.gif"

Out[26]=

"5inclineVer7_46.gif"

となり水平方向の線運動量が保存されていることがわかる.エネルギー(運動エネルギーと位置エネルギーの和)はどうか?

In[27]:=

"5inclineVer7_47.gif"

Out[27]=

"5inclineVer7_48.gif"

となり時間によらない.値はt=0のときのエネルギー値である.求めた解が正しいものであることが上の計算により確かめられた.最後に、もしmが大きければ上と同じ解をえるはずである.例えば、

In[28]:=

"5inclineVer7_49.gif"

Out[28]=

"5inclineVer7_50.gif"

In[29]:=

"5inclineVer7_51.gif"

Out[29]=

"5inclineVer7_52.gif"

より滑り落ちた距離xは

In[30]:=

"5inclineVer7_53.gif"

Out[30]=

"5inclineVer7_54.gif"

すなわち、

In[31]:=

"5inclineVer7_55.gif"

Out[31]=

"5inclineVer7_56.gif"

となり(物理的考察より符号を選んだ)同じであることがわかる.

上の結果を使って上のようににアニメーションをつくってみよ.

In[32]:=

"5inclineVer7_57.gif"

In[34]:=

"5inclineVer7_58.gif"

Out[34]=

"5inclineVer7_59.gif"

Spikey Created with Wolfram Mathematica 7.0