シャプラニールの『ノクシカタ体験キット』 その1 大嵜晃子 ノクシカタ体験キットは、2006年に発売開始となったシャプラニールの新商品である。私は刺繍が好きなので、この商品を実際に体験してみた。値段は500円で、中には刺繍の色糸、モチーフの下絵付きの布(ガーゼ付き)ノクシカタの説明と刺繍方法の説明について書かれた紙が入っている。この体験キットには、花と象の2種類があり、花を作ってみた。 完成まで12時間以上かかった。まず、花や葉や茎を縫うのに8時間くらいかかった。途中で、葉の縫い方がよくわからず1回縫い直した。縁取りには、2時間半くらいかかった。縁取りの仕方がわからなくて失敗してもう一度やり直した時間も入れると、もっとかかっている。地縫いは縁取りの中だけで、2時間くらいかかった。 実際にやってみると、かなり手間がかかった。作業を通して感じたことをまとめてみた。 ・説明書では好きな色で刺繍するようになっているが、初めてやる人にとっては、色が指定されているほうがやりやすいと思う。 ・完成写真がついていたほうが、出来上がりをイメージできてわかりやすい。手元にバングラデシュで買ったノクシカタがあり、同じような形の刺繍があったので、それを見ながら作ることができた。 ・ホームページに作り方が詳しく載っていると作りやすくなると思う。 ・縫う前に鉛筆で印をつけておくと、うまくいく。印をつけないで、自分の感覚だけでやると形が変になりうまくいかない。縁取りをする時、印をつけずにやっていたら、形がおかしくなり、やり直した。 ・何度も失敗したせいか糸が足りなくなった。
小さな刺繍なので、そんなに時間はかからないだろうと思っていたが、かなり時間がかかった。花や葉のモチーフを縫ったら終わりではなく、刺繍以外の隙間にも、布地と同じ白い糸で、細かく地縫いをしなくてはいけない。これがけっこう時間がかかった。刺繍をしている時、糸がからまったり、花や葉の形が変になったりしてやり直したり。これらを繰り返しているうちに、嫌になることが何度もあった。でも時間が経つにつれて、うまくできるようになっていった。完成するのが楽しみになり、気づいたら時間を忘れてしまうほど刺繍に夢中になっていた。完成した時は達成感があり、とても嬉しい気持ちになれた。
自分で刺繍を体験してみて思ったことは、フェアトレード商品には、ベッドカバーなど大きなものに刺繍をした商品があるが、よくこんな素晴らしいものが作れるなということである。綺麗に仕上げていくのは大変な作業だろう。私が日本やバングラデシュで買った商品も、このように時間をかけて丁寧に作られているのだ。そう思うと生産者の人たちの温もりを感じることができる。これからも大事に使っていこうと思う。
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