下町夜市フェアトレード販売 報告書

 

日時5月19日18:00−21:00

場所:群馬県館林市下町通り商店街

報告:川島修平(責任者)、東城勇太(会計)

 群馬県館林市の下町通り商店街で、フェアトレード商品の委託販売を行った。地元からの“草の根”の活動で、フェアトレード広めていこうということで、4年生有志が集まった。今回我々が出店した「下町夜市」は、群馬県館林市の下町通り商店街による地域活性化イベントである。そこに参加することで、町の活性化にも多少なりとも貢献できるとも考えた。以下の文章は、我々が夜市に参加する経緯を記したものである。

1 下町夜市とは?

 群馬県館林市の下町通り商店街は、他地域の商店街と同様、郊外の大型店舗進出などの影響で衰退傾向にある。商店街の店の数も往時の半分くらいに減り、空き地が目立ち出している。地域ににぎわいを取り戻そうと商店街のメンバーが話し合い、 平成16年10月から開始したのが下町夜市である。秩父で20年続く「みやのかわナイトバザール」を参考にしたそうである。

 開催当初から、商店街だけでなく、市役所、商工会議所、大学生や町づくりの研究会などさまざまな分野の人たちが企画に携わっている。毎月初めに、下町夜市全体会議を開き、ボランティアのとったアンケートをもとに、夜市をどう盛り上げていくか話し合っている。

 下町夜市は、毎月第3土曜日18:00−21:00に開かれている。今回で32回目になる。うどんやラーメン、ビール、駄菓子、雑貨など、お店の特性を生かした商品を販売している。その他に、射的屋、ストリート・ミュージシャンのライブ・スペースなども設けられている。また商店街からばかりでなく、チャレンジ出店も行われている。これは「商売を始めたいが経験がない」「手作りの雑貨やお菓子など自作の品を売りたい、見てもらいたい」といった人たちが出店する形式である。その数は、現在20軒ほど。韓国や台湾料理の店、手作りアクセサリーの店などのほか、地元の商工高校の生徒が自ら開発した商品を売るお店などがある。

2 販売当日の様子

16:00会場到着。到着時、あいにくの大雨のため待機する。16:30頃、ようやく雨が弱まってきたので準備を開始する。売り場設営のために、今回貸していただいた備品は、テント、長机、電球4つである。売り場設営に大澤、川島、大嵜があたり、テント設営の手伝いを東城と前田がおこなった。

2−1 店の装飾と商品の配置

机の上に、我々がバングラデシュで作ったブロックプリントを敷く。テントの両脇には、以前の活動で製作したフェアトレード説明のコルクボードを置いた。別のコルクボードを活用して、店の看板、おすすめ商品フェアトレードコーヒー、ジュートバッグの説明とする。   

今回のおすすめ品はフェアトレードクッキー。おすすめを手に取りやすくするために右側にクッキー、ケーキ、コーヒーなどの食品を配置していった。コンビニのバイトで教えてもらったのだが、右利きの人が多いので右側に売れ筋を置くと、商品を取りやすいのだそうだ。

正面から見て、右からクッキー、コーヒー、紅茶、ノクシカタ小銭入れ、雑貨、ジュートバッグという配置である。

2−2 販売開始                                                                                

18:00 開始時間には雨も完全に止み、晴れ間も見え始めた。さっきまでの天気がうそのようである。夜市に来るお客様も次第に増えていく。中高年の方や親子連れがほとんどである。まず参加者7人をチラシ配り4人と店番3人に分ける。お店では1人が店先に出て客引きをした。最初から、ネパリ・バザーロのクッキーは大好評。特に小さな子供連れのお客様に無農薬の素材を使った体にやさしいクッキーであることをアピールすると、たくさんの人が買ってくれた。

19:00 チラシを配り終え(100部)、急遽チラシを増刷(100部モノクロ)。増刷が終わるまで、チラシ班は付近で客引きをした。チラシを増刷してからは、2〜3人で歩いて一人ひとりにチラシ配りをする。

 客足も7時台がピーク。皆が一生懸命宣伝したくれた結果、多くの人がこの時間に来店してくださり、たくさんの商品を買ってくれた。フェアトレードクッキー全種類と、コーヒーケーキは完売。客層は中高年の男女、親子連れがほとんどだったが、外国人の姿や会社帰りのお客様の姿も見られた。21:00販売終了。

22:00 商品の残数チェック。まさかこんなに売れるとは思わなかった。仮点検を行ったところ、レジの金額と商品の実際の売り上げに+\90ほどの誤差が出てしまった。後日改めて会計作業を行うことにした。

3 会計報告

今回の委託販売の会計は下の通りとなった。

団体名A

        仕入B

    売り上げC

     支払いD

        C-D

シャプラニール

\24,940

\5,400

\-4,320

\1,080

ネパリ・バザーロ

\22,804

\15,865

\-15,984

\-119

小計

\47,744

\21,265

\-20,304

\961

経費

\-1,315

返送料

\-1,260

出店料

\-500

子島買い取り分

\4,679

合計

\25,944

\-23,379

\2,565

 

内訳は次の通りである。

経費 \1,315(チラシコピー代金 ¥1,000、お釣り両替手数料 ¥315)

宅急便返送料 ¥1,260(1箱)

出店料 \500(電気代)

総仕入額 \47,744

総売り上げ ¥25,944

支払い総額 ¥23,379

純利益 ¥2,565

各団体の掛け率は次の通りである。シャプラニール 80%。・ネパリバザーロ70%。

 上の表に「子島買い取り分」という項目がある。子島先生にコーヒー紅茶を買い取って頂いた分である。これは、東洋大学板倉キャンパスの売店「イズミ」にて販売されることが、当初から予定されていたものである。あらかじめその分を上乗せして、コーヒーと紅茶は10個ずつ発注した。クッキーやケーキは賞味期限が1ヶ月と短いため、販売できる分だけを発注した。

今回は食品を買い取って頂けることがわかっていたので、完売する必要がなかった。しかし、通常は買い取り分全額の支払いがあることに注意して欲しい。

4 今回の販売の成果

  • 商品の発注が迅速に行え、夜市開催日1週間前には商品が届いた。
  • 2565円の純利益を出すことができた。中でもクッキー、ケーキは好評で、発注したぶんすべてを売り切りきった。店先での接客、チラシ配りが効果的だった。
  • 商品についてあらかじめ調べておいたので、接客の自信がついた。ネパリ・バザーロのカタログ「verda」や、シャプラニールのホームページから、商品の材料、原産地、生産団体について確認した。
  • 商品の把握がしやすい規模であった。すべての商品について、お客様に説明できた。
  • 会計ミスもなく、またレジと実際の売り上げとの誤差もなかった。会計作業を2回行ったことでミスを防げた。「もう一度確かめる」ことが大切であろう。

5 反省点

  • 販売前日まで、おつりなどお金の出所について話し合わなかった。

 そのため両替作業が銀行の閉店する間際になってしまった。発注よりも早く、まず会計について、お金の出所についての話をするべきである。

  • 客引きに夢中で通行人を妨げた。
  • シャプラニール雑貨の売れ行きがいまひとつであった。逆にネパリバザーロのクッキー、ケーキはもっと発注すべきだった。
  • 参加者が多すぎた。手の空いた人が、テントで待機していた。参加者は5人ほどで十分である。
  • シャプラニールの返送に使うダンボールに、はさみやテープなど備品が混ざっていた。

 備品は一箇所に集めて分かりやすいところにまとめておくべき。

 

6 商品に関するお客様の反応

 客引きの最中、お客様の売っている商品に対する反応を聞くことができた。やはり多いのは、前回までの販売と同じように「売っている商品が高い」ということだ。しかし、今回の販売ではフェアトレードクッキーが大好評で、すべて売切れてしまった。フェアトレードクッキーは80gで346円、スーパーでは158円。多少値段が張るのになぜ売り切れたのか。

 小さな子供連れのお母さんに無農薬の素材を使った体にやさしいクッキーであることをアピールすると、商品への反応が良くなった。フェアトレード商品は多少値段が張るが、生産にとても手間がかかることや、無農薬栽培で体に優しいことなど、商品の値段が適正であることを説明できれば、お客様はフェアトレード商品に興味を持ってくれる。 

 また40歳代くらいの男性のお客様が、コーヒー豆の購入を希望されたが、今回は粉しか用意していなかった。その際に、「コーヒーの香りはどうか?苦味はどうか?」などの質問を受けたが、答えられなかった。お客様によって商品に求めるニーズが様々であることが分かる。それを踏まえた発注や商品知識を身につける必要がありそうだ。

7 販売の流れ

4月21日 第31回下町夜市を下見する。下町夜市本部に挨拶。

4月23日 フェアトレード団体であるネパリ・バザーロ、シャプラニールに電話。今回の販売の趣旨を伝える。

4月24日 大学にて、ネパリ・バザーロの商品選定会議。食料品を発注する。

4月25日 ネパリ・バザーロから確認メール。希望通り5月12日に商品到着予定。

4月27日 午後1時、下町夜市実行委員会事務所を訪問する。出店許可証に記入し、貸していただく備品を確認する(テント、長机、電球4つ)。場所代は、営利目的でないので、電気代500円のみ。

 午後7時から下町夜市全体会議に出席する。夜市出店者、商工会議所職員、市役所の商工課まち研ボランティアなどを交え、夜市をどう盛り上げるかを話し合う会議である。会議の内容の中で、今回の販売につながる有益な情報をも入手する。

・子供の客層を掴むことで、親の客層もつかめる。

・チラシ配りをすべき。

・ルール確認。18時〜21時の夜市終了までは店を閉めてはいけない。

 帰宅後、シャプラニールの発注案を最終チェック。

4月28日 シャプラニール商品発注。

5月2日 シャプラニールから確認メール。こちらも希望通り、5月12日に商品到着予定。

5月4日 チラシ作り。

5月8日 下町夜市レイアウト会議出席。出店スペースの決定。

5月12日発注商品到着。

 シャプラニールから、雑貨(お香、ろうそく、ペンたて)やジュートのバッグ4種、ノクシカタの小銭入れ、ジュートのブレスレットなどアクセサリー類、計24,940円分を仕入れた。前年度のまち祭や、つつじが丘ショッピングモールでの販売で多く売れたものを集めた。

 ネパリ・バザーロからは、こちらもつつじヶ丘ショッピングモールで大好評だったクッキー(ストレートティー、レモン、マサラ、コーヒー、新商品オレンジの5種)、新商品のケーキ(オレンジ、コーヒー)、紅茶のティーバッグ、コーヒーを計22、804円分仕入れた(オレンジのケーキは、売り切れのため欠品になった)。

5月14日 商品の検品。

5月19日下町夜市当日。

5月21日 会計作業。

5月23日 シャプラニール商品の返送。

5月24日 ネパリ・バザーロへ支払い。

8 実行委員長よりのコメント

 販売終了間際、下町夜市実行委員長の三田さんが来店してくださり、貴重なアドバイスを頂くことができた。三田さんは、館林市で80年続く老舗文具店「三田三昭堂」の社長で、小売業のプロである。まず、売り場の感想を聞いてみた。「売り場にもっと商品があったほうが、お客さんの注目を惹くのではないか?」

 今回は資源を無駄にしないために、お客様に袋を渡さなかったが、「袋はあったほうが良い。もし袋が資源の無駄になるのなら、1枚5円で売っても良い」

 三田さんは、ネパリ・バザーロのコーヒーと紅茶を買ってくださった。商品を選んだ理由は、「コーヒー、紅茶はいつも飲むもの。コーヒーは体を冷やし、紅茶は体を温める。妻が冷え性なのでプレゼントする」

 このように下町夜市では、プロからのコメントも得られる。これまで気づかなかった新しい発見がある。店の運営に関するさまざまなアイデアを得られる良い機会であろう。

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