一般システム論

一般システム論

 世の中にはさまざまなシステムが存在する。人が手を加えたものは人工システム、自然に存在するものは自然システムと呼ばれる。人間はそれらのシステムを理解しようとしたり、実生活に役立たせようとしたりする。外見的には「システムとは互いに関連する要素の集まり」である。一般システム論( general systems theory )は、システムに共通する性質や一般的原理を探求する学問である。

 一般システム理論ではさまざまなシステムに共通する性質(概念)に興味がある。また、性質と性質の関連性にも興味がある。このシステムがこの複雑な性質をもつのはなぜかと問いかけられたとする。基本的な性質と原理から、より複雑な性質を理論的に導きたいのである。システムの性質としては、(非)線形性、定常性、安定性、相互作用する要素間の均衡と調整、適応、自己組織化などといったものが広く知られている。

 学生の頃、個人的には制御工学に興味があった。これは入力出力システムの内部状態というものを考えている。ひとつのシステムの内部状態を観測できるか、制御できるか。複数のシステムの組み合わせによって全体として安定なシステムにすることができるかといったことが話題になる。状態や安定という概念はシステム理論的な概念である。また分散制御では複数のシステムの調整概念が重要になる。

 実はこういった概念は社会科学(経営学、経済学、社会学...)のなかでも現われる。「諸学問を横にながめる学問」と、だれかが言った。諸学問の理論モデルが研究対象であると言ったら変な感じがする。多くの学問に共通して現われるようなシステム的性質を体系的なフレームワークの中で表現し、関連づけるという作業を行なっているという意味では哲学と似ている。

その種類

 一般システムの研究を類別すると、
(1)一般大衆のためのシステム研究(啓蒙)、
(2)さまざまなシステムに適用可能な一般理論を目指した研究(システム哲学、システム論)、
(3)一般的と思われる数理モデルによるシステム的性質の研究(数理的システム理論)、
に分けられよう。

 私の専門は第3のもので、数理的一般システム理論( mathematical general systems theory )と呼ばれている。なにしろ数理的にやりたいのである。これが研究態度というか、思想的背景というか、傾向である。他の分野の研究者からみると、数学をつかって哲学をしているように見えることもあるらしい。


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