趣味のロボット作成
ロボット憲章
あなたが結婚して子供ができたとき、その子がロボットと遊んでいるかも知れない。小中学校の情報処理実習で、ロボット制御をやっているかも知れない。
昔の憲章:ロボットの語源は、チェコ語の奴隷。SF小説家アイザック・アシモフ(1920-1992)が、ロボット小説を書く。「わたしはロボット」のなかで、ロボット三原則あり。第1条 ロボットは、人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。第2条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合には、この限りではない。第3条 ロボットは前掲第1条におよび第2条に反する恐れのない限り、自己を守らなければならない。服従型の憲章である。
Sony CEの提案:第1条 ロボットは人間に危害を加えてはいけない。自分に危害を加えようとする人間から逃げることは許されるが、反撃してはいけない。第2条 ロボットは原則として、人間に対して注意と愛情を向けるが、ときに反抗的な態度をとることも許される。第3条 ロボットは原則として人間の愚痴を辛抱強く聞くが、ときには憎まれ口をきくことも許される。ペット型ロボットのための原則である。
その他に、教育支援ロボットやオフィスワーク支援ロボットが出てくるかもしれない。そんなとき、あなたはロボットの行動特性になにを望むのか?コンピュータと人間だけでなく、ロボットと人間の関係について考えてみることも必要だ。
産業ロボット
産業ロボット:現在日本では、産業ロボットが活躍している。自動車などの大量生産の現場で組み立て、接合を行なう。また、産業ロボットを作成するための産業ロボットもある。そんな工場は、ほとんど無人運転である。これを自動化工場といい。そのような自動化の傾向をファクトリーオートメーション (Factory Automation) という。その他:医療ロボット、園芸ロボット:TeleGarden
しかし、産業ロボットは自律移動型ではない。固定された箱に手が突き出していて、それが動くだけである。それに対して、電源さえあれば主体的に動きまわれるものを自律型ロボットという。もちろん主体的とはいっても、内蔵されたプログラムに従ってということである。
パーソナルロボット
パーソナルロボットは、個人向けのロボットのことであり、(今は)四足歩行の自律型のがある。
参考:自律型お掃除ロボット http://DC06.dyson.com/
団体: http://www.personalrobots.com/
ペットロボット
犬や猫を模したパーソナルロボットを、ペットとして使用するなら、ペットロボットというだろう。世界最初のペットロボットは犬の体型であり、1999年末にSonyからAIBOという名称で発売された。AIBOは、感情、本能、学習機能をもち、喜怒哀楽を示しながら、成長してゆく。人工知能研究の成果を利用している。飼い方によっては、ひねくれて成長する場合もある。
参考:AIBO http://www.aibo.com/
ロゴ(LOGO) 『マインドストーム』
1970年代、MIT教授セイモア・パパートは子供の創造性を伸ばすためのコンピュータを模索していた。開発した言語をLOGOという。それは、Lisp言語によくにたもので、人間の言葉に非常に近く、亀の体型をしたお絵書きロボット「タートル」(あるいは画面上の色ペン)を制御することができる。また、小さなプログラムを部品化して、大きなプログラムを組み立てることができる。「行動の論理的組み立て」ができるのである。
ただし、それは平面上の移動と回転だけであるので、平面図形を描くことができるだけであるが、しだいに複雑な図形を描くことができるようになるのである。
彼が提唱したのは、「それを使って考えることができるような思考材料」を社会に、そして無数に提供することで、子供が自分で学習する環境、ひいては人々が楽しみながら学習できる社会を実現することであった。そのため、「マインドストーム」は学習(教育学、認知科学)に関するひとつのキーワードになった。
参考文献:S.パパート『マインドストーム』未来社(1982)
レゴ (LEGO)
組み立て玩具ロボット:LEGOは組み立ておもちゃである。駆動装置と電子回路やセンサーの部品もあり、制御可能な移動ロボットにすることができる。
パソコンでプログラミングして確認する。赤外線でロボットにプログラムを転送する。そして、ロボットが動きだすことになる。
参考:ロボットを作ろう http://www.mi-ra-i.com/JinSato/MindStorms/
参考:ラーニングシステム http://www.mdstorm.com/
ロボットアーキテクチャ
ロボットのシステム構成を、あらかじめおおまかに決めておけば(標準化しておけば)、個々の部品を異なるメーカの代替品に取り替えて修理もできるし、バージョンアップ、センスアップもできる。たとえば、足をとり変えることができるはずである。そのためには、3つの規定が必要である。作動部品に関するメカニカル・アーキテクチャ、電気部品に関するエレクトリカル・アーキテクチャ、プログラムのためのソフトウエア・アーキテクチャである。
オープンアーキテクチャ:上記3種のアーキテクチャを規定し、業界各社が外見上それを守り、しかし中身をより良いものにしながら部品や製品を作れば、産業が発展する。したがって、アーキテクチャは、ただ1社だけでなく、業界全体として、誰もが知っておかねばならないものである。そのような一般公開されたアーキテクチャを、「オープン」アーキテクチャという。
Open-Rは、四足歩行ロボットに関する、Sonyが提唱するオープンアーキテクチャである。これは商標であるが、オープンなので、誰がその枠組みを使ってもよい。
参考文献:M. Fujita & K. Kageyama, "An Open Architecture for Robot Entertainment", Association for Computer Machinery (1997)
しかし、その他の会社あるいは個人が、別のアーキテクチャを提唱するかも知れない。そして、業界全体がそれを支持するならば、古いアーキテクチャは滅び、新しいアーキテクチャは、「業界標準」ということになる。この競争に勝ち残ったものを、デファクトスタンダード(de Fact Standard)という。
AIBOに使われているSony社のOperios-OSは、上記Open-Rアーキテクチャの部分の、とくにソフトウエアアーキテクチャのなかの、OS部分に相当する。Operios-OSそのものは枠組みではなく、具体的に動く基本ソフトウエアであって、中身はオープンではない。使い方(仕様)だけが公開される。
ロボカップ http://www.robocup.or.jp/
書籍:北野宏明『大人のための徹底!ロボット学』PHP出版(1500円)
PINO http://www.pinoworld.com/f/index.htm
参考:Open-R http://www.aibo.com/openr/